宮崎は、木の建築を作る環境が整っています
理由その1「歴史が伝える」
豊かな太陽と水、黒々とした土に育まれた宮崎の森林は、江戸時代からマツやモミ、ヒノキやクスノキなど、奈良の東大寺や江戸城といった歴史的建造物に使用された材を提供してきました。

理由その2「数字が示す」
宮崎県の面積の76%が森林です。また、杉の人工林の広さ、国産材の出荷量も全国でトップクラスです。なかでもスギの素材(丸太)生産量は30年以上連続日本一を記録しています。

理由その3「技術と品質もお墨付き」
森と共に、その恵みを活かす産業も発達してきました。丸太を伐り出す技術やそれを加工する技術など、お互いに切磋琢磨する多様なモノづくり環境が根付いています。そのため寸法の狂いにくい乾燥材や、安心な建築のために需要が高まる、木材の強度等の性能が担保されたJAS認証製材品が入手しやすい地域です。高いプレカット加工技術を持つ工場もあり、挑戦的な木造建築にも対応することができます。
宮崎を代表する木 オビスギ
今から400年前、飫肥藩(現在の宮崎市南部から日南市全域)で造船用の弁甲材の生産を目的に、オビスギの造林が始まりました。温暖で雨が多い地域で育つオビスギは、成長が早い、虫や菌類などの外敵から身を守るため油分が多く腐りにくい、軽くて弾力があり曲げやすいなどの特徴を持つことから重宝され、はるか東南アジアまで輸出されました。
造船材の需要が減少した現在も、真直ぐおおらかに育つ性質で建築用として活用されています。オビスギにはアカ系とクロ系があり、それぞれに特徴の違う15種類の品種が存在します。近年では、社会のニーズに応じた品種改良が進められており、特に花粉をあまり出さない品種が多く植えられています。

未来につなぐ
本県では伐採後の再造林にも力を入れており、伐採面積の80%以上の再造林を目標に、持続可能な林業の実現を目指しています。地域の森は、豊かな水と空気を育み、環境保全にも大きな役割を果たします。さらに地元の木を活用した建築の取組みは、地域循環型社会への貢献につながります。

森の木が建物になるまで
森林から伐採され、丸太となった木材は、原木市場で競りにかけられた後、製材所に届けられます。伐採業者から直接届けられる場合もあります。製材所では丸太のサイズに応じて大小様々な機械を使って丸太から製材品に加工します。さらに、木材乾燥や、防腐、防蟻等の加工も行います。
製材品は木材市場など流通業者を通じて、大工さんやプレカット工場にわたり、そこで仕口加工を施されて様々な建物に利用されます。

宮崎の原木市場・製材工場

原木市場
伐採された原木(丸太)を集荷・仕分けして、製材工場や木材販売業者に販売
製材工場
丸太を建築材料や家具、土木資材などの製品に加工し販売
| 名称 | 所在地 | ||
| 1 | 原木市場 | 宮崎県森連 高千穂林産物流通センター | 高千穂町 |
| 2 | 宮崎県森連 五ヶ瀬林産物流通センター | 五ヶ瀬町 | |
| 3 | 宮崎県森連 東郷林産物流通センター | 日向市 | |
| 4 | 宮崎木材市場 日向原木市場 | 日向市 | |
| 5 | 延岡地区森林組合木材流通センター | 延岡市 | |
| 6 | 宮崎林産物流通センター | 宮崎市 | |
| 7 | 綾原木市場 | 綾町 | |
| 8 | 宮崎県森連 都城林産物流通センター | 都城市 | |
| 9 | 都城製材協同組合 | 都城市 | |
| 10 | 都城原木市場 | 都城市 | |
| 11 | 宮崎県森連 高原林産物流センター | 高原町 | |
| 12 | 都城原木市場 小林市場 | 小林市 | |
| 13 | JAS機械等級 製材工場 |
木脇産業株式会社 | 都城市 |
| 14 | 外山木材株式会社 今町工場 | 都城市 | |
| 15 | エンジニアウッド宮崎株式会社(都城木材) | 都城市 | |
| 16 | 原木市場 | 宮崎県森連 日南林産物流通センター | 日南市 |
| 17 | 日南地区製材協同組合市場 | 日南市 | |
| 18 | JAS機械等級 製材工場 |
高嶺木材株式会社 | 日南市 |
宮崎のプレカット工場

プレカット工場
木造建築の部材を工場で機械加工し住宅施工前に必要な部材を生産

| 名称 | 所在地 | ||
| 1 | 県北 | 東九州プレカット事業協同組合 | 日向市 |
| 2 | 延岡製材協同組合 プレカット工場 | 延岡市 | |
| 3 | 有限会社藤堂産業プレカット事業部 | 佐土原町 | |
| 4 | 県央 | ランバー宮崎協同組合 | 宮崎市 |
| 5 | 県西 | 都城地区プレカット事業協同組合 | 都城市 |
| 6 | 持永木材(株)プレカット事業部 | 都城市 | |
| 7 | 県南 | 飫肥の国プレカット協同組合 | 日南市 |
宮崎の機械等級区分JAS構造用製材品リスト
機械等級 JASとは、日本農林規格(JAS)に基づき、構造用製材の強度を機械により測定して等級区分したものです。見た目とは関係なく実際の強度を示し、樹種と等級に応じて、圧縮、引張、曲げなどの基準強度が国土交通省の告示で定められています。そのため構造計算が必須とされる、非住宅建築等の設計に適しています。
オビスギは初期成長が早いため未成熟材の割合が多く、強度が懸念された時代もありました。ですが高樹齢化に伴い、近年では材長3〜4m、梁成210㎜程度までは、一般的に構造計算で要求されるE70以上の無垢材も安定的に入手できるようになりました。
ただし、サイズ、強度、等級、数量により、原木からの調達が必要になる場合もあり、納期が変動するため、設計段階での打合せが安心です。


宮崎の構造用集成材リスト
構造用集成材は日本農林規格(JAS)に基づき、機械等級によって明確に強度が表示される木質建材です。複数のひき板(ラミナ)を強力な接着剤で再構成し、一本の部材として製造します。無垢材では困難な長尺や大断面の部材や、材を組み合わせてより強度の高い部材を製造することができるため、体育館やホールといった大空間の建築に広く用いられています。
宮崎では豊富な木材資源を活用し、県産材を原料とした集成材も製造されていますが、製材品と同様に、納期が変動する場合があります。長尺材は運搬にも注意が必要なため、注意が必要です。
